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ドラゴンハット 様

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長年の課題だった“言葉の聴き取りにくさ”をIntellivoxが解消

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全国的にも珍しい屋根付きの真砂土グラウンド、ドラゴンハット

滋賀県南東部の湖東平野に位置し、2つの山(雪野山と鏡山)に囲まれた長閑な町、竜王町(りゅうおうちょう)。神社や寺院などの観光名所が多いだけでなく、大型のアウトレットパークもあることから、休日には県外からも多くの人が訪れる“緑と文化の町”です。
そんな竜王町のランドマークと言えるのが、1996年8月にオープンした多目的施設、『ドラゴンハット』です。竜王町総合運動公園内にある『ドラゴンハット』は、全国的にも珍しい屋根付きの真砂土グラウンド。『ドラゴンハット』の運営管理を行う公益財団法人竜王町地域振興事業団副理事長の甲津和寿様によれば、2年に一度、町民運動会も開催される町のシンボル的な施設とのことです。

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「ドラゴンハット」の外観、全国的にも珍しい屋根付き真砂土グラウンド。

「竜王町は昔からスポーツが盛んな町で、2年に一度『ドラゴンピック』と題した町民運動会を開催しているくらいなのですが、昔は大きな競技場が町内になく、町民運動会も学校のグラウンドを使って開催していたんです。しかし学校の近くには十分な数の駐車場がありませんでしたので、町民運動会を開催すると、周りで大渋滞が発生してしまって……。それで町民の皆様に気軽に利用していただける施設を整備しようということになり、1996年にオープンしたのが竜王町総合運動公園なんです。竜王町総合運動公園は、屋内プールやテニス・コート、弓道場、自由広場などで構成される総合的な運動公園で、『ドラゴンハット』はその中心的な施設になります。愛称に関しては公募したのですが、屋根の形が竜が帽子を被っているようだということで、『ドラゴンハット』という名前に決まりました。確か子どもさんの案だったと思いますが、とても親しみやすい名前になりましたね」(甲津様)

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公益財団法人竜王町地域振興事業団副理事長、甲津和寿様

『ドラゴンハット』のグラウンド面は100m×67m(6,700m2)で、サッカーや運動会ならば1面、少年野球やソフト・ボールならば2面、ゲート・ボールならば8〜12面使用できる広さになっています。そして『ドラゴンハット』の大きな特徴と言えるのが、屋根付きの施設ながら完全に密閉されておらず、グラウンド・レベルが360度開放されている点。このユニークな設計により、風通しの良い屋外施設のような快適性と、スポーツ競技以外の催し物にも対応する柔軟性を実現しています。

「見てのとおり周囲が開放されていますので、今のような夏場でも非常に風通しが良く、屋根があるので直射日光を避けることができます。逆に冬の寒い時期は防風パネルを設置することで、快適にスポーツを楽しむことができる。そして何より周囲に客席がないため、グラウンドにそのまま車を乗り入れることもできるんです。もちろん、客席が必要であれば、ベンチを置くことで対応できます。いろいろなイベントに柔軟に対応できるこの設計は、『ドラゴンハット』の一番の特徴だと思っています。実際、スポーツだけでなく、企業の見本市や納涼祭、親睦会、さらにはドッグ・ショーといったイベントでもお使いいただいています。通常、見本市のようなイベントは3〜4日にわたって開催されますが、ここならば展示物を置いたままにしても雨の心配がありませんし、車を直接乗り入れることができますので、機材の搬入や撤収も容易です。過去には車の展示即売会でお使いいただいたこともあります」(甲津様)

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グラウンド・レベルが360度開放されているのは『ドラゴンハット』の大きな特徴

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完全に密閉しないことで、高い快適性と柔軟性を実現している

Intellivoxの導入によって言葉の聴き取りづらさを解消

そんな『ドラゴンハット』が、オープン以来抱えていた大きな問題が音響でした。甲津様によれば、利用した町民から“音が聴き取りづらい”という意見がたびたび寄せられていたとのことです。

「ドームのような形状の屋根の影響が大きいのではないかと思いますが、マイクの音量を上げれば上げるほど音が割れてしまって、何を言っているのかよく聴き取れなかったんです。催し物では最初に主催者が説明や挨拶を行いますが、それが何を言っているのかよく分からない。また、スポーツ・イベントでは音楽を流すこともあるのですが、それも音が割れてしまって、“こんな音だったら音楽をかけない方がいいのではないか”という意見もあったくらいです。『ドラゴンハット』は、大変よくできた施設なんですが、本当に音響だけがネックで、それを何とかして改善したいというのは長年の願いでした」(甲津様)

竜王町地域振興事業団では、音響の問題を何とか改善できないかと滋賀県に本社を置く設備業者、キノンビクス株式会社に相談。キノンビクス株式会社 システムサポートグループ システムデザインチーム課長の古野和行様によれば、これまで様々なスピーカーや設置方法で改善を試みてきたとのことです。

「建物の吸音がまったくなされていないので、音を出した後に響きが凄く残ってしまい、言葉が聴き取りにくい大きな要因になっていました。実際に測定してみると、6〜7秒とかなり残響時間が長く、たとえばゲート・ボールの試合でボールを打った後、その響きが“カーン”とかなり残ってしまう音響だったんです。オープン当時、常設の音響システムは鉄板の天井面に分散型のスピーカーが約20台設置してある構成でした。竜王町地域振興事業団様からは、“何とかスピーカーの入れ替えで改善できないか”というご要望がありましたので、ラインアレイ型のスピーカーを吊ってみたり、天井ではなく周囲に小型スピーカーを取り付けて、人の耳に近いところで鳴らしてみたりとか、いろいろ試してみたのですが、どれもあまり良い結果が得られず……。東京の音響コンサルティング会社に相談して、これはもう躯体に手を入れて、建物の音響を改善するしかないのではないかという意見も出たのですが、調べてみると吸音材の重さに鉄骨が耐えられず難しい。それで途方に暮れているときに、ある勉強会でJBL PROFESSIONALのIntellivoxのことを知ったんです。垂直方向の指向性をDSPで制御することにより、残響の多い空間でも明瞭なアナウンスを実現できるという触れ込みで、これはぜひ試してみたいなと。それが3年前のことになります」(古野様)

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キノンビクス株式会社 システムサポートグループ システムデザインチーム課長、古野和行様

キノンビクス株式会社は早速ヒビノにデモ機を依頼し、2018年秋に開催された町民運動会で現地テストを実施。当日はIntellivox×1本をグラウンドの正面付近に立てて使用したとのことです。

「そうしたら、それまでとは言葉の聴こえ方がまるで違う感じだったんです。開会式のアナウンスも直接言葉が届く感じで、それが凄く印象に残りましたね。町民運動会なので、グラウンドには町民の方がたくさんいらっしゃったのですが、すぐに“これまでと音がちょっと違うな。変わったな”という感想があったくらいです。その最初のテストで、“このスピーカーだったらいけるのではないか”と確信を持ちました」(古野様)

甲津様も最初の現地テストでの音にかなり驚いたと語ります。

「現地テストで使用したのは1台、しかも細長いスピーカーですから、どれだけの能力があるのか想像できませんでした。しかし実際にその音を聴いてみると、非常に響きが良く、なおかつとても安定的な音で、周りの職員と“スピーカー1台でこれだけ変わるのか”と話した記憶があります。本当に良い音が出ているという印象でしたね。キノンビクスさんからIntellivoxをご提案いただき、現地テストで非常に安定した音が出ることが分かりましたので、導入に向けて話を進めていった次第です」(甲津様)

2020年3月に改修工事が実施され、『ドラゴンハット』では最長到達距離25〜50m/屋外での使用に対応したIP-55準拠のIvx-HP-DS370を6本設置。屋根の長辺側に3本ずつ、ほぼ均等な位置に取り付けられました。

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『ドラゴンハット』に設置されたIntellivox

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最長到達距離25〜50m/屋外での使用に対応したIP-55準拠のIvx-HP-DS370が6本設置された

「『ドラゴンハット』は半屋外のグラウンドなので、砂埃が凄いんです。砂埃は音響機器に悪影響をおよぼしますから、IntellivoxにIP-55に準拠した屋外対応のモデルが用意されているのは良かったですね。スピーカーの本数と取り付け位置に関しては、ヒビノさんに施設の図面を渡してシミュレーションしていただき、それを元に決定しました。競技やイベントによって正面の場所が違ってきますので、どこが正面でも大丈夫なように、スピーカーを6本、シンメトリーに設置するのがいいだろうと。6本という本数に関しては、Intellivoxは指向性を正確に制御することができますので、各スピーカーの音が重ならないように制御しながら、まんべんなくグラウンドをカバーするシミュレーションを作っていただいて決定しました。4本という案もあったのですが、その場合すべてのエリアをカバーするためには各スピーカーの出力を大きくしなければならず、音の明瞭度が下がってしまう恐れがありましたので、やはり6本設置した方がいいだろうと。ただ、既にある躯体にどのように設置するかというのが施工上の一番の問題でした。Ivx-HP-DS370は長さが4mくらいありますので、鉄骨トラスが入り組んだ屋根にどうやって取り付けようかと。そこでまず、Intellivoxの実物大模型を作り、搬入ルートや設置場所の寸法、隙間などを確認したんです。模型でしたらぶつけてしまっても大丈夫ですからね。模型を使って設置場所を決めてから取り付け金具を製作し、改修工事を行いました」(古野様)

既に多くのイベントで使用されたという『ドラゴンハット』のIntellivox。古野様は改修工事後の音を聴いて、余分な残響感の無さ、マイク音声の明瞭度の高さに驚いたと語ります。

「現地テストは1本だったので、それが6本になったときに、音がワンワン回ってしまうのではないかと少し不安だったんです。しかし実際にはまったく問題なく、グラウンドの中央で聴いても、音が混ざり合って変になっているという感じはありません。各スピーカーがそれぞれのエリアをしっかりカバーしていて、余分な残響感というのも以前のスピーカーと比べると格段に減り、マイク音声の明瞭度が上がって本当に驚きました。改修工事後のトラブルもゼロです。Intellivoxは、音の到達距離やカバー・エリアを正確にコントロールできますので、体育館などの残響が多い建物には最適なスピーカーですね。IP-55準拠のモデルも用意されていますので、プールなどにもいいのではないかと思っています。ただ、スピーカーでここまで音が改善できてしまうと、建築音響の方がおろそかになってしまいそうです(笑)。まずは建物自体の吸音対策だと思いますが、Intellivoxを設置することにより、お客様に良い音響システムを提供できるのではないかと考えています」(古野様)

甲津様によれば、これまで利用した人からの反応も非常に良いとのこと。スピーチだけでなく、音楽も良い音で再生できるようになり、大変満足していると語ります。

「利用していただいた方からは、“音がしっかり伝わるようになった”と言われますね。スポーツの大会などでは司会者の進行と挨拶がとても大事なのですが、以前は聴き取りづらかったスピーチがとてもクリアになり、利用者からも“挨拶の中身が分かる”とおっしゃっていただいています。それと音楽もいいですね。運動会などでは音楽をかけなければなりませんし、ダンス・パフォーマンスでは音楽が大事な要素になるわけですが、利用者からは“何か劇場で聴いているような音だ”というコメントがあったくらいです。それと私としては、Intellivoxの外観が『ドラゴンハット』に馴染んでいて、とても良いなと。その形状と大きさが鉄の屋根にとてもマッチしている印象です。間違いなくこれまで以上に素晴らしい施設になったと大変満足しております」(甲津様)


主要な納入機材 

機材 ブランド名 製品名
パワード・コラムスピーカー JBL PROFESSIONAL Ivx-HP-DS370

   

ドラゴンハット(公益財団法人竜王町地域振興事業団)

〒520-2541
滋賀県蒲生郡竜王町岡屋3282番地
http://ryuoh.or.jp/


納入会社
キノンビクス株式会社

〒520-3045
滋賀県栗東市高野577番地1
TEL:077-552-1144 https://www.kinon.co.jp/


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