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JBL PROFESSIONAL Intellivox 導入レポート:石川県中能登町『鹿島体育センター』


 設備音響の世界で今、大きな注目を集めている「JBL PROFESSIONAL」のスピーカー・システム、「Intellivox」。縦長のユニークな筐体デザインが印象的な「Intellivox」は、垂直方向の指向角をDSPで制御することで、空間全体に均一なサウンドを再生することができるコラム型パワード・スピーカーだ。「JBL PROFESSIONAL」独自のテクノロジー、“ビーム・シェイピング(DDS)技術”によって、様々な形状/広さの空間に対応する「Intellivox」は、次世代の設備用スピーカー・システムとして欧米では空港や駅、商業施設、教会などを中心に続々と導入されている。そのテクノロジーについて詳しくは、本誌前号(2015年12月号)に三村美照氏(M&H ラボラトリー)による検証記事が掲載されているので、そちらをぜひ参照していただきたい。

 昨春、遂に日本でも出荷が開始された「Intellivox」。本誌では国内で最初の導入となった石川県中能登町の町営体育館、『鹿島体育センター』をレポートすることにした。同センターでは「Intellivox」の導入によって、長年の課題だった“アナウンスの聴き取りにくさ”が見事に解消されたとのことだ。

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以前のスピーカーとの違いは誰が聴いても明らか
まるで魔法のように聴き取りやすくなった
 石川県の能登半島中程に位置する中能登町(なかのとまち)。山や河川などの自然環境に恵まれ、長閑な田園風景が広がる非常に美しい町だ。昨春、この中能登町の町営体育館である『鹿島体育センター』に、「JBL PROFESSIONAL」のスピーカー・システム「Intellivox」が導入された。現在、設備用スピーカー・システムとして大きな注目を集めている「Intellivox」だが、この『鹿島体育センター』が国内初の導入事例となる。


 
石川県中能登町の町営体育館、『鹿島体育センター』



 『鹿島体育センター』のオープンは、昭和53年(1978年)にまで遡る。『鹿島体育センター』以前は町営の体育館は無く、それまでは町が主催するイベントは小中学校の体育館を利用して行われていたとのことだが、昭和40年代後半から町営の体育館を望む声が大きくなり、建築計画が具体化。晴れてバスケット・コート2面を確保できる大規模な町営体育館、『鹿島体育センター』がオープンした。今年で開館38年目となる『鹿島体育センター』は、今では中能登町の町民にとって無くてはならない施設となっており、運動会から社会人のスポーツ大会に至るまで、様々なイベントで活用されている。

 しかしオープン以来、解決すべき課題として認識されていたのが、その大きな残響音だ。この残響音によってアナウンスが聴き取りにくく、中能登町の杉本栄蔵町長は「この問題の解決は、町にとって大きな課題でした」と語る。
 「残響音が大きくて、挨拶も聴き取れないくらいだったんですよ。イベントで自分が登壇して喋っていても、“皆さん本当に聴き取れてるのかな”と感じてしまうくらい(笑)。だからこれまで、スピーカーの位置を変えたり様々な策を講じてきたんですが、喋り声の聴き取りにくさはなかなか改善されなかったんです」
(杉本町長)

 オープン以来、何度か改修工事が行われてきた『鹿島体育センター』だが、一昨年の秋から昨年の春にかけて、耐震補強を含む大規模な改修工事が行われることが決定。その改修工事に合わせて、長年の課題だった“喋り声の聴き取りにくさ”を解決するため、スピーカー・システムの全面刷新が計画された。そして、町から相談を受けた「ほくつう」と「パナソニックシステムネットワークス」が『鹿島体育センター』用の新しいスピーカー・システムとして注目したのが、「Intellivox」である。「JBL PROFESSIONAL」独自のテクノロジーによって、垂直方向の指向角を細かく調整できる「Intellivox」は、空間全体で明瞭かつクリアなサウンドを実現する。「ほくつう」の七尾営業所所長の飯室修氏は、「パナソニックシステムネットワークス」の担当者から「Intellivox」のことを知らされたとき、「まさに『鹿島体育センター』に最適なスピーカー・システムだなと思った」と語る。
 「現場の残響音は本当に酷く、それを解決するにはコラム型のアレイ・スピーカーしかないなと思っていたんですが、市場には当時、あまりいいものが無かった。『鹿島体育センター』の問題を解決するには、指向角を本当に細かく微調整できるものでなければダメだと思ったんです。そんなときに「Intellivox」のことを知って、これこそ探していたスピーカー・システムだなと思いましたね」(飯室氏)

 しかし結果がどうなるかは実際に現場で鳴らしてみなければ分からない。そこで一昨年12月、改修工事真っ只中の館内に「Intellivox」のデモ機が持ち込まれ、比較試聴が行われたという。その結果は想像以上のものだったと飯室氏は振り返る。
 「それまでと比べて、明らかに喋り声が鮮明なんです。まだ以前のスピーカー・システムがあったので比較試聴したんですが、その違いは誰が聴いても明らか。まるで魔法のようだなと思いましたよ」(飯室氏)

 「Intellivox」の内蔵DSPの設定は、コンピューター上で動作する「DDA」と呼ばれるソフトウェアによって行う設計になっている。DSP内蔵のスピーカー・システムというと何やら敷居が高そうに感じてしまうが、「ヒビノ」プロオーディオセールスDiv.の大森健市氏によれば、一度設定してしまえば後は普通のスピーカー・システム同様、電源のオン/オフで使用できるとのことだ。
 「「Intellivox」は、設備用のスピーカー・システムとして、非常にスマートに仕上がっています。ここの設置も事前に現場のデータを貰い、あらかじめ80%のものを作ってきて、あとは現場で微調整するだけでOKでした。しっかりした現場のデータさえあれば、あとは補正するだけで大抵は上手くいきます。もの凄く音量を出すイベントの場合は、また別のセッティングが必要になるかもしれませんが、ほとんどの場合1種類のセッティングで対応できるので、後は普通のスピーカー・システムのように使うことができます」(大森氏)

 『鹿島体育センター』では「Intellivox」は、長さ2,800mmの「Ivx-DSX280」(最長到達距離、20〜35mのモデル)を左右の柱に1本ずつ設置。白色かつ縦長のデザインによって、館内に違和感なく溶け込んでいる。石川県中能登町生涯学習課課長の百海和夫氏は、この設備音響機器らしからぬデザインがとても気に入っているという。
「実物を見て、最初はこれで大丈夫なのかなと思ったんですが、縦長の筐体の中にスピーカーが細かく入っているという構造を知って納得しました。柱に上手く収まっていますし、見た目の威圧感が無いのがいいですよね」(百海氏) 

 
館内両サイドの柱に1本ずつ取り付けられた「Intellivox」。
『鹿島体育センター』で導入されたのは、長さ2,800mmの「Ivx-DSX280」(最長到達距離:20〜35m)というモデルで、
体育館での使用となるためガードで覆われている 

 音響施工を手がけた「昇陽電機」工事部の久田友宏氏によれば、設置に関しても容易に行えたとのことだ。
「体育館ということでガードは付けさせてもらいましたが、工事自体は普通のスピーカー・システムと同じように行えました」(久田氏)

 昨年3月に工事が完了し、4月からすぐに稼働し始めたという新生『鹿島体育センター』。長年の課題だった喋り声の聴き取りにくさは、最新鋭のスピーカー・システム「Intellivox」を導入することによって見事に解消された。おそらく日本には同じような問題を抱える公共施設は多いと思われるが、「Intellivox」の導入は間違いなくその最適解の一つと言えるだろう。
「以前のスピーカーと比べると格段に良くなりました。町民の皆さんにも好評のようですし、とても満足しています」(杉本町長)


 
写真向かって左から、
株式会社ほくつう七尾営業所所長の飯室修氏、昇陽電機株式会社工事部の久田友宏氏、
石川県中能登町生涯学習課課長の百海和夫氏、石川県中能登町町長の杉本栄蔵氏、
ヒビノ株式会社 ヒビノプロオーディオセールスDiv.東京第一営業部テクニカルサポートチーム課長の大森健市氏、
同じくヒビノ株式会社 ヒビノプロオーディオセールスDiv.東京第二営業部設備営業チーム チーフの滝司氏



※この記事は「プロサウンド Vol.191 2月号(2016年1月18日)」から転載しています。

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