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Si Compact 製品レビュー③ 後編

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アナログ・コンソールのような直感的な操作感がいい

 実際に現場で「Si Compact」を使用して、最も気に入ったポイントというとサーフェースの操作感です。サーフェース上部に備わった“ACS”(編註:Assignable Channel Stripの略)によって、チャンネルやバスのパラメーターを直感的に操作することができるんです。従来のデジタル・コンソールのように、液晶ディスプレイを見ながらパラメーターを呼び出して……という操作をする必要がない。このアナログ・コンソールのような操作感はとても気に入っています。

 デジタル・コンソールというと、大きな液晶ディスプレイを中心とした操作体系になっているものがほとんどです。しかし「Si Compact」で液晶ディスプレイを使用するのは、入出力のパッチを設定するときくらい。ほとんどのパラメーターが表に出ているので、操作に迷うことがありません。液晶ディスプレイを見なくても操作ができる点は、現場で使用してみると本当に便利だと感じます。

 それと“TOTEM”(編註:The OneTouch Easy Mixの略)スイッチも便利ですね。“ACS”の下部に備わった“TOTEM”スイッチによって、チャンネル・フェーダーをバス送りの出力フェーダーに瞬時に切り替えることができます。この操作はとても分かりやすく、気に入っている機能のひとつです。

 また、「Si Compact」にはフェーダーグロウ・システムという機能が備わっており、フェーダーに割り当てた機能によって溝の部分が発色するようになっています。たとえばグラフィックEQを操作しているときは赤色になり、FXバスのセンド/リターンを割り当てたときは青色になるんですが、これが非常にいいですね。AUXのセンド・フェーダーを割り当てたときは、プリ/ポストで色が変わりますし、暗い現場でも間違えることがほとんどない。この視認性の良さは、「Si Compact」の大きな特徴だと思います。

使いでのあるBSS Audio製28バンド・グラフィックEQ

 肝心のサウンドに関しては、このクラスのコンソール以上の音質を持っていると思います。上から下まできれいに出すことができますしね。最近の現場は46㎝のサブ・ウーファーありきのところが多いのですが、デジタル・コンソールでミックスすると低域がダブダブになってしまうことがあります。しかし「Si Compact」は低域がスッキリしているので、そのような嫌な感じになることもなく、とてもミックスがしやすい。このミックスのしやすさは、「Soundcraft」コンソールの伝統を受け継いでいる部分だと思います。

 内蔵のプロセッサー類も十分で、「SiCompact」を使用する際はアウトボードを持って行くことはありません。中でも、「BSS Audio」製の28バンド・グラフィックEQは、位相ずれが少なく非常に気に入っています。音が崩れないというか、パラメトリックEQに近い効き具合を持っています。これだけのグラフィックEQが内蔵されているというのは、接続トラブルを回避する上でもメリットは大きいですね。

MADI接続のステージ・ボックス「Compact StageBox」も導入
 今回導入した「Si Compact」にはオプションのMADIカードが装着してあり、「CompactStage Box」も併せて導入しました。「Compact StageBox」はアナログ32ch入力/8ch出力を備えたステージ・ボックスですが、イベントの現場では意外とチャンネル数を必要とします。かといってステージ袖にコンソールをセッティングできるわけではありませんから、こういうステージ・ボックスはとても重宝します。途中で出力が増えた場合でも柔軟に対応できるからです。ライブの現場では、セッティングは一度決まってしまえばよほどの事が無い限り変わらないことがほとんどですが、イベントではセッティングが毎日のように変わりますからね。
タツサウンドのCompact StageBox
タツサウンドは、Si Compactと同時にステージ・ボックス「Compact Stage Box」も導入。
Si CompactにMADIカードを装着することで、ステージ・サイドでの32ch入力/8ch出力を可能にしている

 総じて「Si Compact」はとても気に入っており、今後追加で導入しようと考えているところです。これより小さいものではちょっとしたイベントでは使えませんし、「Si Compact」はさまざまな現場に対応できる機能性とサイズ感があると思います。それと、これは音や機能とは関係ありませんが、「Si Compact」はルックスも凄く良いですね。現場で目にした人には、大変好評を得ています。(談)

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※この記事は「プロサウンド Vol.171 10月号(2012年9月18日)」から転載しています。

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