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老舗ブランドが送り出すモニター・スピーカー「LSR305」

DiGiRECO VOL.170号 掲載記事 >>PDFで見る


皆さんは「JBL」(JBL PROFESSIONAL)と聞いて、どんな製品をイメージしますか。ライブ・シーンで活躍するSRスピーカーからピュア・オーディオの世界で評価されているオーディオ・スピーカー、人によってはヘッドホンやカーオーディオをイメージするかもしれません。それは、このブランドが世界最大級のオーディオメーカーであることの証明と言っても良いでしょう。そんなJBL PROFESSIONALが送り出す最新のモニター・スピーカー、LSR305を紹介します。

老舗が作り上げた小型モデル
 レコーディング・スタジオやホール、ライブハウスといった音楽の現場から街のカフェやレストラン、自宅まで、あらゆるシーンで活躍するJBLPROFESSIONALは1946年にアメリカ/カルフォルニア州のノースリッジで設立された、世界有数のスピーカー・ブランドです。そのサウンド・クオリティーの高さには定評があり、音のプロたちから信頼を集めています。
 音楽制作用のモニター・スピーカーの歴史も古く、これまで多くの名機を生み出してきました。その最新モデルが、今回紹介するLSR305です。
 このLSR305は、これまで同社が培ってきたプロフェッショナル用スピーカーの技術を応用して設計されています。その中でも象徴的なのが「イメージ・コントロール・ウェーブガイド」と、シリーズ名の由来でもある「LSR( L i n e a r S p a t i a lReference)設計」という2つの技術です。

LSR305_LSR308 
5インチの低域ドライバーを搭載したLSR305(税込:32,184円/1本)と、8インチの低域ドライバーを搭載したLSR308(税込:53,784円/1本)


フラッグシップ直系のサウンド
 まず、イメージ・コントロール・ウェーブガイドですが、これは本体ツイーター部分に放射状に付けられたユニークなモールド形状のことを指します。独特な形により、中央の音像は明瞭に保ったまま、スピーカー外側には広いステレオ音場を実現。これによってサウンドの奥行き感や音源の微妙な変化、ニュアンスなどをしっかりと把握することが可能で、解像度の高いサウンドが得られます。
 この技術は大型スタジオ・モニターのフラッグシップ・モデルである「M2」直系のもので、1本約100万円という超高級モデルと同様の仕組みというから驚きです。リスニング・ポイントが広く取られているので、楽器を持ち替えたり、スペースに制限のある自宅用途にも最適と言えます。


出力性能を最適化するLSR設計
 自宅では部屋の形状や広さ、壁材といった影響で、音響的に理想と言えるモニター環境を構築するのは困難です。そこで威力を発揮するのが、LSR設計。これはスピーカーの周囲360度にわたって直接音、反射音、残響音場に関する72もの測定を行ってサウンドを最適化する、というJBL PROFESSIONAL独自の技術のこと。これによって、どんな部屋でも安定して正確なモニター性能を発揮することができるのです。


LSRリア 
背面パネルには、低域と高域のそれぞれにレベルを±2dB変更するTRIMスイッチや入力感度の切り替えスイッチを搭載


5インチと8インチの2モデル
 スピーカーとしての基本性能を見ていくと、本機は5インチのウーファーと1インチのツイーターをそれぞれ41WのクラスDアンプで個別駆動させる、バイアンプ仕様の2Wayモニター。通常、5インチのスピーカーではどうしても低域が不足しがちですが、高効率の低域ドライバーと、乱流を抑えて伸びと深みのある低域を出力する独自のスリップストリーム設計のバスレフ・ポートを採用することで、このサイズとは思えないほどに迫力のある低域を実現しています。背面パネルには-10dBV/+4dBuの感度切り替えやL F ( - 2 / 0 / + 2 d B )、H F ( -2/0/+2dB)のトーン・コントロールを装備しており、環境やサウンドの好みに応じたチューニングも可能です。
 また、8インチのウーファーと56Wのアンプを採用したLSR308では、さらにワイドレンジのサウンドを実現。好みによって同シリーズのサブウーファー、LSR 310Sを追加することもできます。

「とにかく音が良いスピーカーだな…」という印象を受けました

このサイズからは考えられないほどに高水準な サウンドが飛び出してくる、LSR305。ここから は同機を愛用するエンジニア、大串友紀氏のイン タビューをお送りします。「音を聴いて、一発で気 に入った」という大串氏にLSR305の魅力を語っ ていただきました。

大串友紀氏 
大串友紀
Pro Toolsにおける豊富な知識を生かし、水木一郎、ささきいさおなどのアニソン界の大御所が参加するライブや栗林みな実、茅原実里、森久保祥太郎らのイベントにマニピュレーターとして参加。電源やケーブル、スピーカーなどの機材にはこだわりがあり、高音質の追求を日々行っている。


―普段からLSR305を使われているということですが、使い始めたキッカケを教えてください

大串:ある企画で、モニター・スピーカーの聴き 比べをさせていただいたのがキッカケです。 LSR305には「とにかく音が良いスピーカーだな…」という第一印象を受けました。音楽的にはもちろんですが、エンジニア的な観点からも低域から高域までがしっかりと聴こえるので、ミキシングがやりやすかったです。同時に比較したスピーカーの中でも圧倒的に好印象で、一発で気に入りました。


―その後、ご自身の環境にも導入されたのですね
大串:はい。実は、比較試聴の際は先入観を持ちたくなかったので、値段を見ず、純粋に音だけで比較したんです。LSR305は、このサイズ感とは思えない低域とバランス感を持ち合わせていたほか、JBLには「高級なスピーカー」というイメージがあったので、「やっぱり高価なスピーカーは違うな…」と思いました(笑)。その後、販売価格を知り、「えーっ、こんなに安価なの!?」と、とにかく驚いてしまったんです。


―LSR305で一番気に入っている点はどこですか
大串:サイズからは想像できないような低域や、クリアな高域とバランスの良さはもちろんですが、特に気に入ったのは、200~400Hz付近の「中低域」と呼ばれる帯域の再現能力に優れている点です。ちょうど歪んだギターで言うと、5~6弦がズンズンと響くような帯域なのですが、ここが非常にハッキリと、気持ち良く鳴ってくれるんですよね。プロの世界で「定番」と呼ばれているような高価なスピーカーと比較しても、決して引けを
取らないクオリティーだと思います。このサウンドで、この価格というのは本当に驚きです。
「中低域」をうまく扱えないと曲全体のバランスが決まらず、ミックスはなかなか成功しません。LSR305はこの帯域がすごくわかりやすいので、本機で作業するとミックスのテクニックも上達すると思います。


―それは「同価格帯のモニター・スピーカーとは異なる」ということですか
大串:はい、別モノだと思います。同じような価格帯のスピーカーでは、どうしてもレンジが狭かったり、ミキシングする際に聴きたい帯域が出ていなかったり、奥行感が見えづらい、という印象がありました。表面上は鳴っているように感じても、実際は奥の倍音成分が弱かったりすることもあります。
スピーカーの価格が上がっていくと、こういった課題は解消されていくと思いますが、高価なスピーカーが良いのは当然です。LSR305は同価格帯のモデルに感じてしまいがちな「足りない部分」がなく、特別なスピーカーと言っても過言ではないと思います。



―モニター・スピーカーに求めるものは何ですか
大串:やはり「元の素材をどれだけ忠実に再現できるか」という部分が大切だと思います。例えば、EQを施すとしても、各楽器の音がしっかりと見えてないと、「どこをどれだけ」EQすれば良いかの判断ができないほか、「他のスタジオで聴いたら、全然聴こえ方が違った」ということにもなりかねません。エンジニアに限らず、音楽を作る上でモニター・スピーカーは自分のパートナーとして信頼できなくてはいけないと思います。大切な部分なので、自分でしっかりと納得した上で選ぶのがポイントではないでしょうか。
エンジニアによって音の好みがあるのはもちろん、どんなスピーカーを使うのかも含めて「個性」だと思います。しかし、自分が納得できるスピーカーに出会うのは、なかなか大変なんですよね。最初は気に入って使っていても、次第に自分の理想とする音との違いに気が付き、スピーカーを何度も入れ替える…ということがよくありますが、僕にとっては、このLSR305が理想のスピーカーでした。本当に良い出会いができたと思っています。


―LSR305を導入して良かったと思う点はどのあたりですか
大串:僕はPOPS系の作品を手がけることが多いので、やはり「声(ボーカル)」の作りやすさを大切にしています。LSR305は声の質感やEQをかけた時の微妙なニュアンスの変化をしっかりと再現してくれるところが気に入っています。圧倒的に作業がやりやすくなりました。


―8インチのLSR308ではなく、5インチのLSR305を選んだ理由は何ですか
大串:8インチのLSR308を使えば、もう1段階レンジが広がり、低域も充実すると思います。LSR305を選んだのは部屋の広さとの兼ね合いもありますが、何よりもPOPSで使いやすかったからです。いろいろな方が様々な場所で聴く作品を主に手がけているので、リスナーの方が普段聴くようなスピーカーで作業しないと、なかなかうまくいきません。そういった理由から、僕は5インチのLSR305を選びました。


―自宅で使う場合はいかがでしょうか
大串:サイズ感がちょうど良いですし、小音量で使った際にもしっかりとした低域が保たれ、音量によって大きく印象が変わることもないので、とても使いやすいと思います。このサイズだと、よく「サブウーファーがないと…」という意見も聞きますが、LSR305に限ってはそんな心配は必要ありません。5.1chで使うのでなければ、サブウーファーがなくても十分に対応できます。
低域がしっかりと出るスピーカーなので、あとは好みに合わせて調整すれば、もっと良くなります。「低域が出過ぎているな…」と思ったら、スピーカー背面側の壁との距離を少し離すか、吸音材を置くなど、工夫してみてください。背面のスイッチでも調整することが可能で、僕は低域とのバランスを取るために、ハイを+2にセッティングして使用しています。


―LSR305は、どんな方にオススメのスピーカーでしょうか
大串:「モニター・スピーカーを使う人、全員」と言っても過言ではありません。恐らく、LSR305の良さは試聴しないとわからないと思います。サイズや価格だけでは、どうしても先入観を持ってしまい、「ちゃんとプロの現場でも使えるクオリティーなのかな…」という不安を抱くかもしれません。そうすると、「人気のある定番モデルを選んでおこう…」という妥協につながってしまいます。LSR305に関しては、音と価格のバランスが良い意味で釣り合っていないので(笑)、ぜひ、自分の好きな音源を持って、楽器店などで試聴してもらいたいです。きっと僕の言っていることがわかってもらえると思います。LSR305のコスト・パフォーマンスの高さには、周りのエンジニアも皆、驚いています。
「初めてモニター・スピーカーを買う」という方はLSR305を選べば、それがスタートになるのと同時に、ゴールとしてずっと使い続けられると思います。繰り返しになりますが、まずは値段の先入観を捨てて、音を聴いてみてください。

「DiGiRECO VOL.170号で掲載」

このサイトには、税込価格(税率8%)と税抜本体価格を併記しています。